公益社団法人 自衛隊家族会会長 増田 好平



増田 好平 会長
 
 令和7年の新春に寄せて 

 
  皆さま あけましておめでとうございます
   公益社団法人自衛隊家族会長を務めさせていただ
  いております増田好平です。

 この場をお借りして、令和7年の年頭にあたり、謹んで、新年のご挨拶をさせていただきたいと存じます。

 今年の干支は「乙巳(きのとみ)」です。
 「乙」は、十干の二番目に位置し、木の陰のエネルギーを表し、植物が成長し広がっていくような意味合いで、柔軟性や協調性を象徴し、周囲との調和を保ちながら自身の目標に向かって進んでいく力を表しているということです。
 「巳」は、十干の六番目で、蛇を表しており、たくましい生命力があり、脱皮するたびに表面の傷が治癒していくことから、医療、治療、再生のシンボルでもあり、また、辛抱強さや粘り強さも意味しているということです。
 総じて、「乙巳」の年は、頑張りが達成しやすい年、努力が実りやすい年といえ、これまでの努力や準備が実を結び始める時期を示唆しているともいえます。昨年令和6年の干支、「甲辰(きのえたつ)」が、これからの成長や成功が芽吹くために種子の内側でどんどん大きくなっていくとのことでしたので、これに続く、次の成長の段階の年といえそうです。
 今年、令和7年(西暦2025年)は、戦後80年の年であり、警察予備隊創設から75年の年であり、「昭和」100年の年でもあります。まさに、「区切り」の年、
「節目」の年といえるのではないかと思います。
 また、私事で恐縮ですが、私が当時の防衛庁に昭和50年に入庁してから50年になります。
 この50年間を振り返って見ますと防衛省・自衛隊をとりまく環境は、180度変わりました。一言でいえば、「守り」から「攻め」へと変わったと言うことでしょう。軍事的な意味での「防御」や「攻撃」ということではありません。わかりやすく言えば、国会での「憲法違反」との指摘を「受け身」的にかわしていく時代から、具体的な安全保障政策を積極的に追及していく、訴えていくという時代へと変わりました。本年も、この流れに乗って、これまで積み残してきた課題や問題点の達成や解決を目指すとともに、新しい目標を設定し、その実現を目指して、着実な歩みを進めていくべきだと思います。
 私としては、昨年の「年頭の辞」でも触れましたが、その際の、自衛隊家族会にとっての基本的な視点となるものは、「隊員と家族をつなぐ」という考え方ではないかと思います。
 現下の我が国をとりまく国際安全保障環境が、極めて不透明・不安定な中では、これまで以上に、「家族」という要素が重要なものになってきており、広い意味で「家族」は、防衛力の一翼を担うものといっても過言ではない状況になってきているように思います。このような観点に立って、自衛隊家族会が「家族」を防衛力につなげていく重要な役割を果たしていくべきではないかと考えます。
 他方で、自衛隊家族会の抱える大きな課題の一つに、「会員数の減少」があります。一昨年に、6万人の大台を割り込み、昨年末に、更に3千人以上減少し、正会員数は5万6千人余りとなりました。
 我々としては、このような会員数の減少にどう対応するのか、新規入会者を増やすにはどうしたらよいのか、退会者を抑制するにはどのような方策があるのかについて、全国の会員の皆さまと真剣に検討していくことが必要ではないかと考えます。
 私としては、このような視点を自衛隊家族会の活動の中心に置きながら、今年1年の業務を進めていきたいと思います。
 昨年10月に、石破内閣が誕生しました。石破茂総理は、ご承知のように、防衛省・自衛隊のトップを2度務められており、防衛庁長官、防衛大臣経験者の総理就任は中曽根康弘総理以来です。石破総理の誕生は、我々として、喜ばしいことであり、また、大きな期待を抱かざるを得ません。
 石破総理は、就任早々、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」を設置されました。人事に関わる事柄について、内閣レベルで検討が行われることは極めて画期的なことであり、その後、高い頻度で議論を重なられ、昨年12月20日に「自衛官の処遇改善」、「生活・勤務環境の改善」等について、具体的な方策を取りまとめられました。我々自衛隊家族会としても協力し、支援できることがあれば、積極的に対応していきたいと考えております。
 さて、来年令和8年に、公益社団法人自衛隊家族会は創設50周年を迎えます。我々としては、この50周年を大きな節目として、更なる発展を遂げることを考えていきたい存じます。50周年の記念事業として、「自衛隊家族会の歌」や「自衛隊家族会50周年史」の作成等を念頭においておりますが、ふさわしい事業があれば更に付け加えていきたいと思っております。
 最後に、公益社団法人自衛隊家族会の会員及び「おやばと」愛読者をはじめとする皆さまにとって、本年が昨年以上に、平穏で実りある年になることを祈念して、私の年頭の辞を締めくくりたいと思います。          


 学 歴

  昭和50年3月

    東京大学法学部卒業


 経 歴

  昭和50年

   防衛庁入庁(長官官房総務課)

  平成10年 6月

   防衛局防衛政策課長

  平成13年 1月

   長官官房審議官

  平成14年 8月

   (併)内閣審議官(内閣官房副長官補付)

  平成16年 4月

   内閣官房内閣審議官

  平成17年 8月

   防衛庁防衛参事官(統合運用・IT担当)
 
  平成18年 8月

   人事教育局長

  平成19年 8月

   防衛事務次官

  平成21年 9月~平成30年10月

   防衛省顧問

  平成22年 7月~
 
   明治安田生命保険相互会社顧問

  平成23年 2月~
 
   NPO法人 宇宙利用を推進する会 理事長

  平成25年 6月~令和 4年 6月

   公益社団法人 隊友会 常務理事

  平成29年11月 ~

   一般社団法人 市ヶ谷論壇 理事長

  令和 3年 瑞宝重光章 受賞