公益社団法人 自衛隊家族会会長 伊 藤 康 成



伊藤 康成 会長
  
明けましておめでとうございます。 
 
 公益社団法人「自衛隊家族会」2年目の新年にあたり、全国の読者、国内外の国の守りや国際貢献に取組む隊員各位、そして自衛隊家族会会員の皆様に年頭のご挨拶を申し上げます。

 名称を変更して1年が経ちましたが、会員はもとより多くの自衛隊関係者からも「本会の趣旨が明確になった」「誰もがすぐわかる名前で親しみが持てる」等の声を戴いています。 会員の皆様と共に喜び、益々の充実を目指します。


北朝鮮の脅威と中国

 昨年も世界中様々な争いや問題が数多くありました。中でも。北朝鮮の相次ぐ長距離ミサイル発射と核実験の強行は国連安保理決議違反であり、ミサイルの落下予想地域の事前警告もない無謀な行動です。

 わが国はもとより世界中から非難され、安保理は相次いで制裁措置決定しましたが、一切無視してひたすら開発を続けています。我が国の排他的経済海域での漁業者や上空の民間航空機への直撃、領土・領海に落下することこそありませんでしたが、政府は「北朝鮮は脅威」と述べています。

20世紀後半の冷戦の時代でも政府が特定の国を「脅威」と呼んだことはありません。こうした異常事態に、自衛隊は24時間欠かさずの監視を続け、万一の場合は、ミサイルを破壊しなければならない任務に従事しています。イージス艦やパック3ミサイル部隊の隊員、それを支える情報関係や後方支援の隊員の緊張感、疲労はいかばかりでしょうか。

飛翔経路と言われた中国・四国、実際に上空を飛んだ青函、北海道地域では、パック3部隊が臨時展開していると聞いています。自衛隊施設のある他の市町村の中には、部隊に是非来て欲しいという声が上がっているところもあるようです。

勿論、現在自衛隊が保有する装備数と人員では全国くまなく必要な装備を配置することはできません。政府・防衛省は、来年度予算に新たな装備を調達する経費を計上するなど、対応に追われています。さらに年末には、冬の厳しい天候の下、木造船や遺体の漂着が目立ち、これらへの対処も必要です。

 中国では、共産党大会を経て、習近平党総書記が2期目に入り、益々その権威を強めていると報道されています。米国と並ぶ「大国」の夢を追い、軍事力の増強を控える様子もなく、その意図を注意深く見ていかねばなりません。尖閣諸島も目を離すことはできません。


憲法と自衛隊の位置づけ
 
こうした中、昨年秋の総選挙では政権党である自由民主党が公約で「自衛隊の明記(中略)など初めての憲法改正をめざします」と述べています。これについては、連立与党の公明党は一定の理解を示しつつも慎重な姿勢です。野党には具体的に公約で触れたところはありません。また、自民党内でもまだ意見集約は出来ていないようです。

党綱領で「最終的に自衛隊の解消」を目指すとしている日本共産党も、現在の情勢下での自衛隊の存在を認めているように見えます。そうとすれば、全政党そしておそらく国民の大多数は現状維持に異論はないものと考えられます。

しかし、改正の具体案になると、憲法に書くなら「自衛隊」でなく「国防軍」にという意見もあり、衆参両院で3分の2以上の賛成で発議にこぎつけられても、国民投票の過半数の賛成が必要で相当時間がかかることでしょう。

憲法制定時と今日の国際情勢は大きく変化しています。近隣諸国では軍事力の著しい増強を続けている国もあります。そうした中で、外交の重要性は言うまでもありませんが、最後の砦である自衛隊については、周辺諸国は勿論、世界の軍事力の動向などを冷静に見極めて、何が我が国の安全保障に最適なのか、国民全体で考える必要がありましょう。

軍事は軍隊にお任せの戦前から、自衛隊には無関心で部隊の規模や主要な装備の状況、隊員の教育内容や意識も知らずに、何かにつけてすぐ戦争を始めるような議論が散見されるのは、これこそ歴史を教訓にしていないということになります。

今年の衆参両院の憲法調査会では、真剣な議論がなされることでしょうが、隊員に最も身近な本会としては、日々危険を顧みず任務に汗を流す隊員が安心し、堂々と任務遂行に専念できる憲法と諸法制が整備されることを期待しつつ注目していきたいと思います


 新しい年も、本会は隊員家族支援協力を自衛隊支援の中心として訓練や部隊との調整を進めて一層の態勢整備に努めて参ります。また、防衛意識高揚のための講演会の実施、全国的に厳しくなっている隊員募集への協力や再就職援護への協力などにも引き続き力を入れて参ります。さらに、北方領土返還要求署名運動等の国民運動にも引き続き参加します。今年も、全会員揃って和気藹々のうちに楽しく諸活動をして行きましょう。
 
 終わりになりましたが、各部隊等を始め関係の皆様のご支援・ご鞭撻をお願いして年頭の挨拶と致します。
 

 学 歴

  昭和44年3月

    早稲田大学第1法学部卒業


 経 歴

  昭和44年

    防衛庁入庁
    (長官官房総務課)

  平成 8年 7月

    防衛施設庁総務部長

  平成10年11月

    内閣官房
    内閣安全保障・危機管理室長

  平成13年 1月

    防衛施設庁長官

  平成14年 1月

    防衛事務次官

  平成16年 1月

    三井住友海上火災保険㈱顧問

  平成30年 1月

    三井住友海上火災保険(株)退職