平成31年 年頭挨拶 



伊藤 康成 会長

「隊員に最も身近な会として支援に邁進」

   明けまして おめでとうございます。

 平成31年の年頭にあたり、全国の読者、国内外で国の守り、国際貢献その他多様な任務に取組む隊員各位、そして自衛隊家族会会員の皆様にご挨拶を申し上げます。
 今年は、4月末には今上陛下がご退位され翌5月1日皇太子殿下がご即位されます。国民の一人として心からの敬意と祝意を捧げるものであります。
 今上陛下のご退位により平成の世が31年で終わり、5月からは新年号になります。平成時代として後世にどのように語られるか想像するだけですが、西暦では20世紀から21世紀にかけての時期であります。冷戦の終了から始まり目下は貿易戦争とさえ言われる米中の関税引き上げ合戦の行方を世界中が注目しています。第2次世界大戦の前には大恐慌があり、欧米の大国が関税障壁を高くしてブロック経済政策をとったことは良く知られています。大戦後は国際連合やWTO(世界貿易機関)により国際協調が外交政策の主流になっていたのですが、「自国第一」が多くの国で広がりつつあるように見えるのは気懸りなところです。これまでの歴史に学び賢明な解決になることを祈ります。
 
(新大綱と中期防)
 さて、昨年12月18日に政府は新たな「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」(大綱)と5年間の具体的な防衛力整備を示す「中期防衛力整備計画(平成31年度~35年度)」(中期防)を閣議決定しました。
 今回の大綱は、前回平成25年末に26年度以降概ね10年間として策定された前大綱を5年で打切り、新たにしたもので「従来の延長線上ではない真に実効的な防衛力を構築する」と述べているように、これまでにない宇宙領域専門部隊(空)、サイバー防衛部隊(共同)、島嶼防衛用高速滑空弾部隊(陸)及び海上輸送部隊(共同)と人員・装備の確保などが入っています。
 これを受けた中期防は5年間の防衛力整備の水準に係る金額の目途を27兆4700億円(前中期防は24兆6700億円)としていますが、そのうち2兆円弱を効率化・合理化等によることとして、5年間の防衛予算は25兆5000億円(前中期防は23兆3900億円)を目途としています。
 大綱・中期防についてマスコミでは「空母」等の装備が憲法違反か否かなどの記事が多いのですが、本会会員に身近な人的基盤の強化の項では、大綱で「これまで以上に推進していく必要がある」として、制度・処遇の両面で画期的な施策を挙げています。主なものは、大卒者等の採用層拡大、女性の活躍推進、定年年齢の引上げ、退職自衛官の活用、働き方改革及び教育強化、栄典・礼遇に関する施策の推進、任務の特殊性等を踏まえた給与面の改善等です。
 中期防でも、少子・高齢化の下で人材確保等の観点から処遇の向上等各種施策を総合的に推進することを柱として、防衛力の構成要素強化の優先事項の第一に人的基盤の強化を掲げ、「家族支援を含めた隊員の福利厚生の充実を図る」を図ることが明記されています。
 言うまでもなく本会会員は大多数が身内や知人が隊員という方々です。このような隊員の処遇改善の方針は本会としても大いに歓迎し、この施策がどのように具体化するのか、期待をもって注視したいと思います。また、本会は既に陸上自衛隊と協定を結び「家族支援協力」の事業に着手し、各県家族会が中心となって着々と体制を整備し、実働訓練も実施しているところですが、一層真剣に取組んでいくことが大事でしょう。
 
(北方領土返還要求署名活動)
 本会は、国民運動への協力の第一として北方領土返還要求署名運動に参加し、永く署名人数第1位の成果を得てきました。
 今年初めには安倍総理がロシアを訪問してプーチン大統領と首脳会談を行う予定と言われ、今度こそ何らかの方向が見えてくるのではないかと期待が高まっています。全国の会員が永年苦労してきた署名活動ですが、その成果が出ることを期待したいと思います。

    ◇   ◇   ◇
 本紙「おやばと」は、投稿者や編集者の努力で年々「防衛情報紙」として充実してきました。会員は勿論ですが、会員外の方にもできるだけ読んでもらえるよう一層の充実を図っていきます。本紙読者の皆様は、どうぞ積極的にご投稿やご意見等を本会にお寄せ戴きますようお願い申し上げます。
 大綱・中期防で新たな部隊の導入が予定されていますが、平成の初めと比べれば、自衛隊の任務は格段に増えました。国の内外で活動する隊員も非常に多くなっています。一方では民間でも軍事の面でも技術の進歩は急速です。これに追いついていくためにも、更に新たな分野での活動が求められています。実際にこれらを達成するのは隊員一人ひとりの努力に依らねばなりません。本会
は、隊員に最も身近な会として支援に邁進することを誓って新年のご挨拶とします。

 学 歴

  昭和44年3月

    早稲田大学第1法学部卒業


 経 歴

  昭和44年

    防衛庁入庁
    (長官官房総務課)

  平成 8年 7月

    防衛施設庁総務部長

  平成10年11月

    内閣官房
    内閣安全保障・危機管理室長

  平成13年 1月

    防衛施設庁長官

  平成14年 1月

    防衛事務次官

  平成16年 1月

    三井住友海上火災保険㈱顧問

  平成30年 1月

    三井住友海上火災保険(株)退職